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福岡市長選 2026

福岡市長選2026|出馬表明・意向者11人の政策を比較

2026年9月19日時点の情報

4期16年のあと、福岡市はどこへ向かうのか

11月15日投開票の福岡市長選を、過去4回の数字、高島市政の歩み、今回の出馬表明・意向者と政策から読み解きます。

告示前の中間版|記事公開:2026-09-19 18:00

まず全体像をつかむ

福岡市長選2026の出馬表明・意向者11人と、投開票までの日程

告示前に確認できる名前は11人です。ここでの「11人」は立候補届出を終えた正式な候補者数ではありません。表明、会見前の意向、条件付きの出馬を分けて記録しています。

告示

11月1日

立候補届出で候補者が確定

投開票

11月15日

市長1人を選ぶ

現在地

11人

告示前に確認できる名前

福岡市長選2026の日程
日程できること確認先
11月1日告示・立候補届出正式な候補者名簿
11月2日〜14日期日前投票会場・時間は公式案内
11月15日投票・開票福岡市長を1人選出

過去4回の市長選

過去4回の市長選で、投票率と得票数はどう変わったか

2010年から2022年まで、高島宗一郎氏は4回連続で当選しました。得票数だけを追うと支持の広がりが見えますが、投票率と一緒に見ると、選挙の風景は単純ではありません。

投票率

全市
2010
43.67%
2014
38.73%
2018
31.42%
2022
34.31%

高島氏の得票数

当選者
2010
209,532
2014
256,064
2018
285,435
2022
329,606
福岡市長選の過去4回の比較
選挙候補者数投票率当選者得票数/得票率全有権者比次点
2010
11月14日
843.67%高島宗一郎209,532票(43.07%)18.59%吉田ひろし 144,828票(29.77%)
2014
11月16日
638.73%高島宗一郎256,064票(56.83%)21.73%吉田ひろし 116,630票(25.89%)
2018
11月18日
231.42%高島宗一郎285,435票(75.14%)22.97%神谷貴行 94,437票(24.86%)
2022
11月20日
334.31%高島宗一郎329,606票(75.7%)25.70%田中しんすけ 96,408票(22.14%)

出典:福岡市・各種選挙結果候補者得票数・得票率の推移。得票率は有効投票に占める割合です。「全有権者比」は、当選者の得票数を市選管公表の有権者数で割った参考値で、公式の支持率ではありません。

高島市政の16年

高島市政16年を、選挙と福岡のまちの変化で追う

高島氏の実績紹介だけに寄せず、選挙の結果、市の公式年表、本人の不出馬表明を並べました。評価は読者に委ね、候補者が「何を引き継ぐのか」を考えるための材料として置いています。
  1. 2010
    選挙

    高島氏が初当選。36歳で市長に

    福岡市長選で初当選し、最初の4年間が始まる。

    出典:福岡市選挙管理委員会
  2. 2013
    市の動き

    福岡市の人口が150万人を突破

    都市の成長を掲げる市政の前提となる人口の節目。

    出典:福岡市のあゆみ
  3. 2014
    選挙

    2期目へ。国家戦略特区に指定

    市長選では得票率56.83%。同年、福岡市は国家戦略特区に指定された。

    出典:福岡市選挙管理委員会
  4. 2015
    市の動き

    天神ビッグバンが始動

    都心部の建て替え、企業誘致、雇用と税収を成長の軸に置く政策が動き始める。

    出典:福岡市のあゆみ
  5. 2018
    選挙

    3期目へ。得票率は75.14%

    候補者は2人。投票率は31.42%で、過去4回では最も低かった。

    出典:福岡市・各種選挙結果
  6. 2020
    市の動き

    スタートアップのグローバル拠点都市に選定

    企業や人を呼び込む都市政策を、創業・新産業の支援へ広げる。

    出典:福岡市のあゆみ
  7. 2022
    選挙

    4期目へ。得票は過去最多の32万9,606票

    得票率75.70%。投票率は34.31%で、2018年から2.89ポイント上がった。

    出典:福岡市選挙管理委員会
  8. 2023
    市の動き

    地下鉄七隈線が天神南から博多へ延伸

    2023年に開業した、福岡市の主要交通事業の一つ。

    出典:福岡市のあゆみ
  9. 2026
    高島氏の判断

    5選には立候補せず、16年で市長を退く

    次の市長選は、4期16年の市政を引き継ぐのか、方向を変えるのかを選ぶ選挙になる。

    出典:高島市長の不出馬表明会見(KBC)

年表の都市の出来事は福岡市のあゆみを中心に整理し、選挙の推移は高島氏公式サイトの実績データとも照合しています。

今回の出馬表明・意向者

福岡市長選2026の出馬表明・意向者を、同じ項目で比べる

「表明」「意向」「条件付き」を分けています。路線は優劣ではなく、2026年9月19日までの発信を編集部が比較しやすく整理したものです。
無条件の出馬表明・会見済み 8人条件付き出馬表明・会見済み 1人会見前の出馬表明・意向 2人
福岡市長選2026の出馬表明・意向者比較
氏名現在の状態所属・立場現市政との関係(整理)主な政策テーマ主な発信・メディア今後確認したいこと
出馬表明・会見済み無所属市政運営を開く市民参加/生活保障/インフラ制度設計と財源、都市圏の再編をどう実現するか。
立候補表明・会見前無所属継承・進化・挑戦成長/子育て/介護/防災幅広い政策の優先順位と、具体的な数字・制度設計。
出馬表明・会見済み0=∞=1党(こころ党)教育を都市の中心に教育/人権/心のインフラ教育首都をどの予算・施設・制度で実現するか。
出馬意向・9月24日会見予定無所属の意向AI・教育から改革AI/探究教育/市民参加市長選の公約、個人情報、意見の代表性、行政の責任分担。
出馬表明・会見済み無所属・地域会派「新しい風ふくおか」成長とやさしさを両立都市経済/子ども/地域防災都市経済の成果を、誰にどう還元するか。
出馬表明・会見済み無所属・自民党福岡市議団が擁立継承・検証継承/透明化/子育て・教育継承する事業と、過去の評価・修正方針をどう説明するか。
出馬表明・会見済み減税日本公認減税・行政改革市民税5%減税/行政改革減収額、削る事業、行政サービスへの影響。
出馬表明・会見済み無所属・元福岡市議医療・介護へ投資医療/介護/人への投資専門性をどの制度・予算・人材政策に変えるか。
条件付きの出馬表明無所属・NPO活動分散型・環境防災7区の風の谷/防災/自然共生10月31日までの供託金準備と、対象施設・維持費。
出馬表明・会見済み無所属成長を暮らしへ産業支援/文化/防災/共創成長・税収・手取り・市民サービスをどうつなぐか。
出馬表明・会見済み日本保守党公認ゼロからの転換腐敗ゼロ/交通課題ゼロ/移民拡大ゼロ国の権限と市長の権限を分け、市で何を実施するか。

表は横にスクロールできます。スマートフォンでは氏名を固定して比較できます。主な発信・メディアから、出馬会見や政策動画を直接開けます。

出馬表明・意向者別に読む

出馬表明・意向者ごとの主張と、確認しておきたい経歴

渡辺久也

無所属

出馬表明・会見済み

市政運営を開く

「誰一人取り残さない」を掲げ、市民参加とベーシックサービスを重視。

主な論点:市民参加/生活保障/インフラ確認点:制度設計と財源、都市圏の再編をどう実現するか。

西脇ひろき

無所属

立候補表明・会見前

継承・進化・挑戦

高島市政を継承しつつ、成長を生活の質へ広げる考え。

主な論点:成長/子育て/介護/防災確認点:幅広い政策の優先順位と、具体的な数字・制度設計。

荒牧明楽

0=∞=1党(こころ党)

出馬表明・会見済み

教育を都市の中心に

福岡を「世界の教育首都」に掲げ、学びと人権を軸に訴える。

主な論点:教育/人権/心のインフラ確認点:教育首都をどの予算・施設・制度で実現するか。

神野元基

無所属の意向

出馬意向・9月24日会見予定

AI・教育から改革

教育サービスと学校改革の経験を、市民の意見集約にも広げる構想。

主な論点:AI/探究教育/市民参加確認点:市長選の公約、個人情報、意見の代表性、行政の責任分担。

新村優

無所属・地域会派「新しい風ふくおか」

出馬表明・会見済み

成長とやさしさを両立

「人への優しさ」と都市経済の発展を両輪に置く市議出身候補。

主な発信出馬会見
主な論点:都市経済/子ども/地域防災確認点:都市経済の成果を、誰にどう還元するか。

調崇史

無所属・自民党福岡市議団が擁立

出馬表明・会見済み

継承・検証

高島市政の一部継承を掲げ、政策決定の見える化を重視。過去は批判的な姿勢も示した。

主な論点:継承/透明化/子育て・教育確認点:継承する事業と、過去の評価・修正方針をどう説明するか。

井上潔

減税日本公認

出馬表明・会見済み

減税・行政改革

市民税5%減税と市長報酬の見直しを前面に出す。

主な論点:市民税5%減税/行政改革確認点:減収額、削る事業、行政サービスへの影響。

阿部秀樹

無所属・元福岡市議

出馬表明・会見済み

医療・介護へ投資

医師経験を生かし、高島市政を継承しながら医療・介護を厚くする。

主な論点:医療/介護/人への投資確認点:専門性をどの制度・予算・人材政策に変えるか。

永澤幹太

無所属・NPO活動

条件付きの出馬表明

分散型・環境防災

7区に防災・食・教育・エネルギーの生活拠点をつくる構想。

主な論点:7区の風の谷/防災/自然共生確認点:10月31日までの供託金準備と、対象施設・維持費。

佐々木彩乃

無所属

出馬表明・会見済み

成長を暮らしへ

成長基盤を引き継ぎ、税収を暮らし・防災・文化へ広げる。

主な論点:産業支援/文化/防災/共創確認点:成長・税収・手取り・市民サービスをどうつなぐか。

森健太郎

日本保守党公認

出馬表明・会見済み

ゼロからの転換

透明化、減税、自動運転タクシー、外国人受け入れの見直しを掲げる。

主な論点:腐敗ゼロ/交通課題ゼロ/移民拡大ゼロ確認点:国の権限と市長の権限を分け、市で何を実施するか。

政策の確認項目

候補者の政策を、7つの確認項目で比べる

「具体化待ち」はその政策に言及しているものの、現時点で制度・金額・期限まで特定できない場合に使っています。「言及なし」は政策がないという意味ではなく、基準日までの公開情報から明確な言及を確認できなかったという意味です。公約の優劣や争点の重要度を判定する表ではありません。
出馬表明・意向者別の政策確認項目比較
氏名現市政との関係(整理)財政・税成長・再開発子育て・教育・福祉交通防災・環境多文化共生・外国人住民
継承・転換を明言せず、市政運営を開くベーシックインカム、事業見直し福岡都市圏、道州制の検討ベーシックサービス、相談窓口道路陥没など生活インフラ下水道など公共インフラ言及なし
継承・進化・挑戦単純な住民税減税は主要政策にしない福岡・九州の成長、副首都構想第1子保育料ゼロ、介護人材言及あり、具体化待ち避難所、防災環境生活ルールの共生、具体化待ち
教育・人権を政策の中心に言及なし教育経済エンジン教育、心のインフラ、人権言及なし言及なし言及なし
会見待ち言及なし教育・AIを軸にする可能性学校改革、探究教育の実績言及なし言及なし言及なし
成長の流れを止めない言及なし都市経済の発展人への優しさ、子どもの教育言及なし地域防災言及なし
継承方針/過去は批判的事業と成果の検証天神ビッグバンなどを継承子育て・教育言及なし言及なし言及なし
行政改革を重視市民税5%減税言及なし言及なし言及なし言及なし言及なし
継承言及なし言及なし医療・介護、人への投資言及なし言及なし言及なし
集中型から分散型へ省人化・再配分大規模開発より生活拠点教育・介護へ人を再配分言及なし7つの風の谷、エネルギー言及なし
継承・次のステージへ成長・税収・手取り・市民サービス産業支援、スタートアップ、本社機能子育て・介護、具体化待ち7区の特色、人の流れ警固断層・豪雨、167万人の防災言及なし
ゼロからの転換減税言及なし言及なし自動運転タクシー言及なし受け入れ拡大の見直し(国政分野を含む)

成長・再開発

天神ビッグバンの効果を、税収・雇用・家賃・生活の便利さで見る

交通

地下鉄だけでなく、バス・通学・通院・歩行者の移動を一体で見る

財政・税

減税額、削る事業、維持費、国・県・市の役割を分けて見る

共生・防災

外国人住民の生活ルールと、災害時の要配慮者支援を具体化して見る

読者アンケート

現時点で、投票先として考えているのは?

告示前の読者アンケートです。公式の世論調査ではなく、このページを読んだ人の現時点の関心を概算するためのものです。回答は1回として扱い、あとから変更できます。
いちばん近い選択肢を1つ選んでください

調査メモと出典

候補者の経歴・財務・動画の根拠を読む

冒頭の比較表で全体像をつかんだあと、候補者ごとの根拠、会社・法人の確認状況、動画、争点別の背景を必要なところから読めます。
詳しい調査本文を開く

2026年11月15日に投開票される福岡市長選挙を、2026年9月19日時点で確認できる公開情報から整理します。出馬表明・意向者の人物像や所属だけでなく、どの政策を高島宗一郎市政から継承・修正・転換するのか、何をまだ具体化していないのかまで、個別に見ていきます。

今回の記事は告示前の中間版です。11月1日の告示までは立候補表明者が増える可能性があり、正式な候補者名簿は告示日に確定します。「立候補表明」「出馬意向」「条件が整えば出馬する意向」を区別し、候補者の発言と編集部の整理を分けて記載します。

まず結論:問われるのは、どの政策を継承・修正・転換するか

福岡市長選の大きな軸は、16年間続いた高島市政の評価と、その次の市政の方向です。高島市長は2010年に初当選し、2014年、2018年、2022年の選挙で再選しました。2022年の投票率は34.31%、高島氏の得票は329,606票でした。福岡市選挙管理委員会の公式資料では、2010年から2022年までの高島氏の得票数・得票率の推移も確認できます。

高島市政は、天神ビッグバンや博多コネクティッド、スタートアップ支援などを進める成長路線を掲げてきました。福岡市は、人口や市税収入の増加、子育て・教育・福祉の予算拡充を市政の実績として示しています。ただし、これらの数字だけで個別の都市政策が人口・税収の変化にどの程度寄与したかを示す因果分析にはなりません。天神ビッグバンでは、2015年2月から2025年3月末までに建築確認申請が93棟、竣工棟数が74棟とされています。七隈線の博多駅延伸も開業しました。2026年度の福岡市一般会計当初予算は1兆1,318億1,100万円、全会計の総額は2兆1,867億4,151万円です。

一方で、候補者の発信には、再開発の効果を地域の暮らしにどう届けるか、バスや道路など日常の交通をどう維持するか、子育て・介護・防災にどこまで投資するか、市政の決定過程をどう見えるようにするか、外国人住民の増加と地域のルールをどう考えるかという違いがあります。

「成長か生活か」という単純な二択ではありません。成長投資を続ける候補者でも、保育料、教育、介護、交通、防災を掲げています。違いは、どの課題を最初に解くのか、財源をどう考えるのか、市長の裁量と市議会・県・国の役割をどう分けるのかに表れます。

選挙の日程と、候補者情報の見方

項目 内容
告示日 2026年11月1日(日)
投開票日 2026年11月15日(日)
期日前投票 2026年11月2日(月)〜11月14日(土)
定数 市長1人
正式な候補者 告示日に立候補届出をした人

福岡市選挙管理委員会は、告示日を11月1日、投票日を11月15日と決定しています。期日前投票の会場や時間は、今後の公式案内で確認します。

告示前の政治活動と、告示後の選挙運動を分ける

告示前に公開された政策動画、街頭活動、後援会づくり、記者会見は、候補者を知るための資料になります。一方、福岡市選挙管理委員会は、選挙運動について、原則として告示日に立候補届出をしてから投票日前日までに限られると説明しています。告示前の動画やポスターを、そのまま「選挙運動」と断定することはしません。

記事では、候補者の動画を「本人の政策発信」「出馬会見」「政治活動」「報道」「第三者の解説」に分類します。選挙運動用ポスター、政治活動用ポスター、事務所の看板にはそれぞれ規定があるため、現地で見かけた掲示物を紹介する場合は、掲示日、表示、掲示主体、福岡市選挙管理委員会のルールを確認します。候補者の発信量が多いことと、法的に選挙運動をしていることは同じではありません。

政策を読むための福岡市の基礎データ

候補者の「成長」「暮らし」「共生」「財政」という言葉を比べるには、福岡市の現在地を先に押さえておく必要があります。福岡市の推計人口は2026年9月1日現在で167万2,066人です。中央区は21万6,531人で、市全体の約12.9%を占めます。人口は増えていても、区ごとの年齢構成、住宅、通勤・通学、外国人住民の分布は同じではありません。

外国人住民については、福岡市議会の答弁で、2025年5月末の市全体が5万5,201人、中央区が7,089人と示されています。2023年の4万1,720人、2024年の4万7,734人から増加しており、国籍別ではネパール、中国、ベトナムが上位でした。これは「移民」という一つの言葉だけでなく、留学生、就労者、家族、永住者、子ども、地域の生活ルールを分けて政策を見る必要があることを示します。

財政面では、2026年度一般会計が1兆1,318億1,100万円、市債残高は市の予算説明で臨時財政対策債を除き約1兆3,898億円とされています。候補者の減税、公共投資、福祉拡充を比べる際は、単年度の予算だけでなく、施設更新、債務、運営費、人口構成の変化まで確認します。

この記事で「表明」と書く場合は、本人の会見、公式サイト、政党・政治団体の発表、報道で確認できたものを指します。報道で出馬意向が伝えられた段階の人は、会見済みの候補者と同じ扱いにはしていません。

現時点の立候補表明者・出馬意向者

2026年9月19日時点で確認できる名前は、次の11人です。FNNは9月18日時点で、佐々木彩乃氏と森健太郎氏を含む「出馬会見を開いた人」を計9人と報じています。この記事の分類では、無条件の出馬表明・会見済みが8人、条件付きの出馬表明・会見済みが1人、会見前の出馬表明・意向が2人です。西脇ひろき氏は9月7日時点で、本人が「まだ記者会見を開いていない」と説明しながら、立候補を表明しています。永澤幹太氏は9月17日の会見で無所属での立候補を表明し、10月31日までに寄附と自己資金で供託金240万円を用意できなければ出馬を見送る条件を示しています。神野元基氏は9月18日時点で出馬意向が報じられ、9月24日に会見予定とされています。いずれも、正式な候補者とは分けて読む必要があります。

報道機関によって人数が違うのは、永澤氏や神野氏を「立候補表明者」に含めるか、「条件付き・会見前の出馬意向」として分けるかが異なるためです。共同通信は9月18日時点で佐々木氏を8人目の表明者と報じ、TNC・RKB・KBCは永澤氏を含む会見者・表明者を9人と報じています。神野氏はその後に出馬意向が報じられたため、この記事では、本人が出馬を明言した人、会見を開いた人、会見前の意向を示した人を別の欄で管理し、西脇氏を含めて「確認できる名前」を11人としています。これは正式な候補者数ではありません。

氏名 現時点の状態 所属・立場 公開情報から見える中心軸
渡辺久也 8月26日に出馬表明会見 無所属 開かれた市政、誰一人取り残さない市政、道州制
西脇ひろき 本人発信で出馬表明。会見の有無は別管理 無所属 高島市政の「継承・進化・挑戦」、成長と生活の両立
荒牧明楽 9月3日に出馬表明会見 0=∞=1党(こころ党) 教育、AI時代の学び、心のインフラ、尊厳
神野元基 9月18日時点で出馬意向が報道。9月24日会見予定 無所属の意向 AI・探究教育、学校改革、起業経験を背景にした教育政策(市長選公約は会見待ち)
新村優 9月4日に出馬表明会見 無所属、地域会派「新しい風ふくおか」 人への優しさと都市経済の発展、成長の流れの継承
調崇史 9月11日に出馬表明会見 無所属で出馬表明。自民党福岡市議団が擁立 継承方針/過去は批判的、政策決定の可視化、子育て・教育
井上潔 9月14日に出馬表明会見 減税日本公認 市民税5%減税、行政改革、市長報酬の見直し
阿部秀樹 9月17日に出馬会見 無所属。元福岡市議 高島市政の継承、医療・介護、人への投資
永澤幹太 9月17日に立候補を表明。10月31日までに供託金240万円を用意できなければ出馬を見送る条件 無所属・NPO活動 7区の「風の谷」、防災・エネルギー・自然との共生
佐々木彩乃 9月18日に出馬表明 無所属 高島市政の継承、成長の果実を暮らしへ、共創・国際性
森健太郎 9月18日に出馬表明会見 日本保守党公認 腐敗ゼロ、交通課題ゼロ、移民拡大ゼロ、減税

出馬表明・意向を確認できない名前の扱い

本人・政党の発表、本人発信、または信頼できる主要報道で具体的な動きを確認できないうわさ段階の名前は、出馬表明・意向者として掲載しません。今後、本人・政党・選挙管理委員会から具体的な発表があれば、候補者数と本文を更新します。

また、2022年市長選で高島氏と争った田中慎介氏についても、今回の選挙には立候補しない方向だと報じられているため、候補者には含めていません。過去の有力候補であっても、今回の出馬意向を確認できない人は別枠で扱います。

出馬表明・意向者ごとの人物像・路線・政策

渡辺久也――「誰一人取り残さない」と開かれた市政

渡辺久也氏は、元経済産業省職員で、現在は福岡市早良区で貿易会社を営むと報じられています。九州大学大学院を経て通産省に入り、宇宙やバイオなどの先端技術開発プロジェクトに携わった経歴を説明しています。

出馬会見で掲げた中心メッセージは「誰一人取り残さない市政」です。ベーシックサービス、ベーシックインカム、相談窓口の充実を挙げ、学童の規模や道路陥没など、手がつけられてこなかった課題にも触れています。また、選挙カーを使わず、福岡市内の公民館を歩いて訪ねる方針を示しました。

本人の「福岡がやる必要があると思う10のこと」では、重要課題について市民が直接参加する会議、公民館を訪問する市長、市役所1階に置く市長室、ベーシックサービス・ベーシックインカム、下水道管の更新、市営住宅の建て替え、福岡都市圏の合併や福岡都の検討などを挙げています。市長の任期制限については、今回確認した同ページでは具体的な記載を確認できないため、断定しません。

路線としては、再開発の継続・停止を前面に出すというより、意思決定の開放、市民参加、行政単位の見直し、生活保障を組み合わせるタイプです。具体的な制度設計、財源、福岡都市圏の再編をどの手続で実現するかは、今後確認したい点です。

西脇ひろき――高島市政を「継承・進化・挑戦」する成長路線

西脇ひろき氏は、本人の選挙ドットコム上の発信で福岡市長選への立候補を表明しています。9月7日時点では、まだ記者会見を開いていないこと、完成した公約集ではなく、具体的な数字や制度設計まで決まっていない政策もあることを本人が明記しています。

高島市政については、「継承×進化×挑戦」と表現し、成長を止めずに生活の質へつなげる立場です。第1子からの保育料ゼロ、ふくおかパスポート、FUKUOKA FIRSTを重点として掲げ、子育て、教育、仕事、医療、介護、交通、防災まで幅広く言及しています。副首都構想については、福岡だけを大きくすることではなく、福岡の成功を九州全体へ広げる考えを示しています。

税制については、住民税5%減税のような単純な減税を主要政策にはしないと説明しています。成長による税収を都市の成長だけに使わず、暮らしへ返すという考えです。介護職員の待遇改善、住宅費や資格取得、キャリアアップ支援、効果の薄い事業の縮小・廃止も発信しています。

路線は、現市政の成長政策を引き継ぎながら、子育て、介護、防災、地域生活へ広げる「継承・拡張型」と整理できます。ただし、政策の中には本人が「これから具体化する」としている項目もあるため、財源・期限・成果指標の確認が必要です。

荒牧明楽――福岡を「世界の教育首都」に

荒牧明楽氏は、政治団体0=∞=1党(こころ党)の福岡支部代表です。公式ページでは福岡県出身、佐賀大学卒業後にリクルート、広告・医療業界を経て社会起業家として独立し、nTech講師、人権講演、NPO活動などに取り組んできたと説明しています。

掲げるキャッチフレーズは「福岡市を、世界の教育首都に」です。AIが急速に進む時代だからこそ、人間とは何かを考える新しい学問が必要だとし、学校だけでなく街全体で人を育てる構想を示しています。孤独や不安を解消する「心のインフラ」、人が輝く街、学びが仕事につながる教育経済エンジンという言葉が、現在の発信の中心です。

政策の詳細は、公式マニフェストや今後の説明会で確認する必要があります。教育予算、教員の負担、大学・企業との連携、子どもの居場所、福祉や医療との接続をどう制度化するかが、理念を市政に落とし込む際のポイントになります。

現時点の発信からは、教育、人権、心理的な支援、AI時代の人材育成を都市政策の中心に置く方針が見えます。既存の市政のどの政策を継続・修正するのか、教育首都という構想をどの年齢層、どの施設、どの予算で実現するのかが今後の焦点になります。

神野元基――AI教育・学校改革の実践者が出馬意向、政策は会見待ち

神野元基氏は、東明館中学校・高等学校の理事長兼校長です。9月18日時点で福岡市長選への出馬意向が報じられ、9月24日に記者会見を開く予定とされています。したがって、現時点では立候補表明者と同列に扱わず、会見前の出馬意向者として整理します。

東明館の公式プロフィールでは、2012年に株式会社COMPASSを創設し、2016年にAI型教材Qubenaをリリース、2019年に中央教育審議会臨時委員、2020年に経済産業省産業構造審議会委員、2021年に宮崎市教育CIO、2022年に東明館中学校・高等学校校長に就任したと説明しています。2023年4月からは学校法人東明館学園の理事長を兼任しています。

市長選については、AIを活用して市民の意見を拾い上げて市政に反映させる仕組みを取り入れ、市民が街の将来を一緒に考えられるようにしたいという考えが報じられています。教育分野でのAI活用を、行政の意見集約や合意形成へ広げる構想と読めますが、実際の制度、個人情報保護、意見の代表性、最終的な意思決定者をどう設計するかは会見待ちです。

COMPASSの現行公式サイトでは、Qubenaについて、全国170以上の自治体、2,300以上の公立・私立小中学校、100万人以上の子どもの学びを支援していると説明しています。これは神野氏が関わった教育サービスの社会実装規模を読む材料です。ただし、現在のCOMPASS公式サイトの代表取締役CEOは佐藤潤氏であり、神野氏を現職の代表者・経営者として扱うことはできません。創業者・元CEOとしての経歴と、現行会社の経営体制を分けます。

過去の企業活動では、COMPASSが2018年に第三者割当で総額6億円を調達し、累計調達額が8.6億円になったと当時の会社発表があります。これは投資家からの資金調達額であって売上高や利益ではなく、2018年時点の会社発表です。現在の業績や神野氏個人の経済的利益を示す資料として使わないようにします。

市長選の具体的な政策、福岡市の学校現場への導入構想、Qubenaなど民間サービスと公教育の関係、教育委員会・学校・教員・保護者の役割、個人情報や調達のルールは、9月24日の会見とその後の公約で確認します。現時点で「教育政策がある」と断定せず、公開されている教育・AIの職歴から見える問題意識と、市長選の公約を区別します。

新村優――「人への優しさ」と都市経済の発展を両立

新村優氏は、福岡市南区選出の市議会議員で3期目です。福岡市議会のプロフィールでは、会派は「新しい風ふくおか」、経済振興委員会、少子・高齢化対策特別委員会などに所属しています。早稲田大学大学院、アサヒビール勤務、参議院議員秘書などを経て、2015年に福岡市議選で初当選したと報じられています。

公式サイトでは、「人への優しさ」と「都市経済の発展」を両輪とし、市民一人ひとりの活躍が街の活力を生み、その経済的資源が市民の幸せに還元される好循環を掲げています。出馬表明時には、発展を続ける福岡市を市民とともにつくりたいと述べ、後日、具体的な政策を発表するとしています。

高島市政については、発展の流れを止めない考えが報じられています。交流人口の増加に伴う都市課題、地域防災、子どもの教育に力を入れる方向です。市議としての議会活動、会派の政策、過去の質疑と、市長選で新たに掲げる公約を分けて読む必要があります。

現時点では、都市経済と生活支援の両立という大枠は見えていますが、再開発、交通、財政、子育ての各分野で具体的な数値や優先順位はこれからです。

調崇史――自民党市議団が擁立、継承と政策決定の可視化

調崇史氏は、福岡市出身で、TNCテレビ西日本の記者などを経て2011年に市議に初当選し、現在4期目です。自民党福岡市議団が擁立を決めた一方、本人は無所属での立候補を表明しています。

出馬会見で強調したのは、政治への信頼回復と、政策の決定過程を可能な限り可視化することです。公式サイトでは、子育てと教育を軸に、誰もが住み慣れた地域で暮らせる福岡市を目指すとしています。報道では、天神ビッグバンなど高島市政の施策を継承する方針も示されています。

2026年4月には、半導体、宇宙、バイオなど成長分野の教育や高専新設について、市議として提言していました。市長選では、こうした産業政策と、子育て・教育、ガバナンスの可視化をどう一体化するかがポイントになります。

現時点では、現市政の一部を継承しつつ、議会・行政経験を生かして運営の検証可能性を高める姿勢と読めます。一方、TNC・FNNの報道は、自民党市議団の中でも高島市政に批判的な姿勢で臨んできたと伝えています。現在掲げる継承方針と、これまでの議会での姿勢は分けて確認する必要があります。

井上潔――市民税5%減税を掲げる減税日本公認

井上潔氏は、福岡市出身で、元国土交通省職員の行政書士です。地域政党「減税日本」の公認で出馬を表明し、市民税5%減税を掲げています。候補者発表時の報道では、若い人に希望を持ってもらうこと、行政の無駄を見直すことが主張の中心とされています。

減税を掲げる場合に確認すべきなのは、減収額、実施時期、対象税目、行政サービスへの影響、代替財源です。福岡市の2026年度当初予算は一般会計だけで1兆1,318億円にのぼり、子ども、福祉、教育、道路、地下鉄、水道、消防など市の事業は多岐にわたります。市民税5%減税が、市民1人あたりいくらの減税になるのか、市全体でいくらの減収になるのか、どの事業を見直すのかは、現時点で確認できる範囲を超えています。

現時点では、減税と行政改革を重視する姿勢と整理できます。減税の効果だけでなく、財源とサービスの組み替えをセットで読む必要があります。

阿部秀樹――医師経験を生かし、医療・介護への投資

阿部秀樹氏は福岡市出身で、長崎大学医学部卒業後、麻酔科医として勤務し、2023年の福岡市議選で中央区から初当選しました。2026年9月16日の市議会定例会で議員辞職が許可され、17日に市長選への出馬会見を開いたと報じられています。以前は日本維新の会公認で市議選に出馬しましたが、現在は無所属です。

本人は、目の前の一人ひとりの命を救う医師から、政治の立場でより多くの人の暮らしを支えたいと説明しています。高島市政を継承しながら、医療・介護分野への人への投資を進める方針が報じられています。

福岡市では、医療・介護だけでなく、救急、障害福祉、認知症、介護人材、子育て、災害時の要配慮者支援がつながっています。医師としての専門性を、市長としてどの制度や予算に落とし込むのか、医療機関・県・国との役割分担をどう考えるのかが今後の確認点です。

永澤幹太――7区に「風の谷」、防災と自然共生

永澤幹太氏は、福岡市出身の33歳で、森林保全などに取り組むNPO法人の代表です。9月17日の会見で無所属での立候補を表明し、10月31日までに寄附と自己資金で供託金240万円を用意できなければ出馬を見送る条件を示しています。本人サイトでは、政治団体「ながさわかんた後援会」の活動として市長選への立候補を掲げています。

中心政策は、福岡市7区すべてに「風の谷」をつくる構想です。風の谷は、防災、食、教育、エネルギー、生態系が組み合わさり、災害時にも機能が止まらない小さな生活拠点と説明されています。学校を太陽光発電や蓄電、食、防災、学びの拠点として活用し、人にしかできない教育・介護へ人を振り向けるため、行政の省人化とデジタル化も掲げています。

本人サイトでは、政策の出典一覧や更新履歴を公開し、撤退基準も示しています。候補者自身が政策の数字や誤りの修正過程を公開している点は、行政の検証可能性という観点でも確認できます。

路線は、都心集中型の成長だけでなく、災害・気候・人口減少への適応を先に考える「分散型・環境防災型」です。7区のどの学校・施設を対象にするのか、整備費・維持費をどう確保するのかは、具体化が必要です。

佐々木彩乃――高島市政を継承し、成長を暮らしの豊かさへ

佐々木彩乃氏は29歳。九州大学法学部卒業後、経営コンサルティング会社を経て、一般社団法人カタリスト九州を設立し、代表理事を務めています。カタリスト九州は「共創と創造性で九州から地方創生を実現する」を掲げ、地域課題の解決、人材育成、異業種ネットワーク、若者の地域定着、創業支援、交流人口の拡大などに取り組んでいます。

出馬意向を伝えたKBCの報道では、高島市政をしっかり継承し、そのうえで福岡の成長を市民一人ひとりが暮らしの豊かさとして実感できるものにするとしています。9月18日の会見では、歴史や文化を受け継ぎながら、経済成長による税収で暮らしを豊かにする考えを述べました。

福岡テレQニュースの出馬会見ノーカット動画(48分45秒)を確認すると、佐々木氏の路線は「高島市政の単純な継承」よりも、「成長基盤を引き継ぎ、生活・防災・文化の次の課題へ広げる」という内容に近いです。冒頭では、天神のビル建て替えが進んでも空室を増やさないため、福岡・九州を本社とする企業や海外市場へ挑戦するビジネスを育てる必要があると話しています(動画13:21〜15:30、26:05〜28:38)。

具体的に読み取れる論点は、三つあります。第一は、家賃・物価の上昇を念頭に、成長、税収、手取り、市民サービスをつなぐこと。第二は、警固断層や気候変動・豪雨を意識した防災と、167万人の命を守る備え。第三は、「東京化」ではなく、福岡・博多の歴史文化や路地の店、若者の挑戦を残す都市づくりです(動画15:34〜19:26)。

質疑では、都心の交通混雑と天神一極集中について、地下鉄などのハード整備に加え、企業と連携した人の流れの設計、7区それぞれの特色を生かした都市づくりに言及しました。また、若者・大学生と人手不足の中小企業をつなぐ仕組み、福岡発のスタートアップや本社機能の誘致・育成、歴史文化を子どもと大人が学び観光にも生かす考えも示しています(動画28:38〜32:52、42:05〜44:23)。

現時点の発信からは、国際経験、産業支援、人材育成、共創を軸にした成長路線が見えます。具体的な公約、福岡市の行政組織をどう動かすか、再開発と生活コスト・住宅費・交通・子育てをどう結びつけるかは、今後の政策発表で確認します。

森健太郎――「福岡を、ゼロから」保守・減税・外国人住民政策

森健太郎氏は福岡市中央区出身の48歳で、25年以上にわたるITエンジニア・経営者の経験を持つと本人サイトで説明しています。日本保守党の福岡支部長・情報システム部長で、同党公認で市長選への出馬を表明しました。

出馬会見で示した3本柱は、「腐敗ゼロ」「交通課題ゼロ」「移民拡大ゼロ」です。市政の透明化と無駄遣いの見直し、自動運転タクシーなどによる交通課題への対応、外国人受け入れ制度の見直しを掲げています。政策ページでは、移民政策の抜本的見直し、減税、エネルギー政策の転換などを国政課題と接続して詳しく説明しています。

一方、市長が扱う市税や市の事業と、国が所管する消費税・在留制度、自治体も運営・関与する国民健康保険や介護保険などは分けて考える必要があります。外国人住民の生活支援、学校教育、地域のルール、治安対策は市の仕事と国の制度が重なります。候補者の主張を記事化する際には、国への要望と福岡市の権限でできる施策を分けます。

路線は、現市政の延長ではなく、政治の透明化、減税、外国人受け入れの抑制を軸に大きく転換する「保守・刷新型」です。政策ページには国政レベルの提案も含まれるため、市長就任後に市の権限でどこまで実施できるかが重要な確認点になります。

候補者の会社・法人・組織を調べる

市長候補の「経営経験」や「組織運営」を比べるときは、会社の売上、役職、サービスの実績、政治活動の実績を同じものとして扱わないことが大切です。株式会社の売上高は市政の成果を直接示す数字ではなく、NPOの活動人数や寄付額も、行政事業の費用対効果とは別の指標です。ここでは、候補者本人や法人の公式ページ、公的機関の紹介ページで確認できた範囲を分けて整理します。

11人の事業・職歴・財務情報の確認状況

候補者 会社・法人・職歴 公開ページから確認できる活動・実績 業績・財務情報の確認状況
渡辺久也 三宗貿易株式会社の代表取締役 有機食品の輸入販売・輸入代行、食品輸出、貿易コンサルティング、不動産賃貸。有機JAS、酒類小売・卸売の資格を掲げる Food Biz Kyushu掲載の2021年3月期は年商約1.6億円、従業員4人。現在の業績ではなく、過去時点の掲載値
西脇ひろき 普通の会社員。NEXCO九州支社で高速道路関連施設に携わったと本人プロフィールで説明 香川県勤務後に福岡へ異動。設計・施工の経験と、会社員として市長選に挑戦する立場を発信 勤務先の企業名・本人の担当部署以外の業績、本人が経営する会社は確認できず
荒牧明楽 Over the Rainbow.inc、NPO法人カラフルチェンジラボなどの活動 会社概要では輸入・製造・販売、法人コンサルティング、コミュニティ・イベント運営。公的講演案内では同社代表、NPO理事、nTech Online University学長と紹介 NPO公式サイトに2018〜2025年度の会計報告一覧。2024年度報告の貸借対照表は確認できるが、会社の業績は不明
神野元基 株式会社COMPASS創業者、東明館中学校・高等学校理事長兼校長 AI型教材Qubenaの開発、中央教育審議会・産業構造審議会、宮崎市教育CIO、学校法人運営。2018年に総額6億円の資金調達を会社発表 COMPASS公式サイトは170超自治体・2,300校・100万人超への導入を説明。売上・利益や神野氏の現在の持分・役職は確認できず
新村優(まさる) アサヒビール勤務、NPO法人次世代のチカラFUKUOKA、スペクトラムアンドパートナーズ株式会社取締役と公式略歴で説明 市議3期、地域会派「新しい風ふくおか」。公式サイトでは過去の議会質問・活動を公開 スペクトラムアンドパートナーズの売上・利益、NPOの収支は確認できず。アサヒビールは過去の勤務先で、本人の業績とは分けて扱う
調崇史 TNCテレビ西日本の記者を経て市議 市議4期。子育て・教育、成長分野、高専新設などの政策提言。現在の会社経営者としての活動は確認できず 個人の会社業績に該当する公開情報は確認できず。政治団体の収支は会社業績とは別に確認する必要がある
井上潔 元国土交通省職員の行政書士と報道で紹介 市民税5%減税、行政改革を掲げる。候補者本人に結び付く行政書士事務所の名称・公式サイトは今回確認できず 事務所の売上・利益、従業員数は確認できず。別人の行政書士事務所を候補者のものと推定しない
阿部秀樹 天神ホリスティックビューティークリニック院長。麻酔科医として病院勤務 公式プロフィールで長崎大学医学部、福岡大学病院、福岡赤十字病院などの経歴と、クリニックの診療領域を確認できる クリニックの売上・利益・患者数は公開ページから確認できず
永澤幹太 NPO法人mie代表理事。ノンビリムラを運営 2020年に約3,000平方メートルの耕作放棄地で活動を開始し、2023年に約4,000坪の山林を購入・整備。旧拠点では月約150人の発達障害・不登校の子どもを受け入れたと団体が説明 公式データ保管庫に活動計算書・事業報告書への導線はあるが、株式会社の年商と同じ意味の数字ではない。収支全体は別途原資料で確認が必要
佐々木彩乃 一般社団法人カタリスト九州代表理事 2025年4月3日設立。地域課題解決、人材育成、異業種ネットワーク、若者の定着、創業支援、交流人口の拡大を事業内容に掲げる 法人の売上・利益、事業別収支、常勤職員数は公式設立告知から確認できず
森健太郎 大手SIer、DeNA、GOのIT職。エクセライク株式会社を創業し代表取締役CTOを務めたと本人プロフィールで説明 Mobage・AndApp・AIドラレコの開発、エクセライク会計・会社設立サービスなどのローンチ、党のQR受付や配信システムを実績として掲載 エクセライクの候補者在任時の売上や、現在の生成AI副業・合同会社の名称・業績は確認できず

この表から、会社の業績を数字で比較できる候補者は現時点では限られます。渡辺氏については、公式会社サイトが資本金・設立日・代表者・事業内容を示し、福岡商工会議所などが関わるFood Biz Kyushuの企業ページが過去の年商と従業員数を掲載しています。ただし、これは2021年3月期と2021年9月時点の数字であり、2026年現在の売上や利益を示すものではありません。上場企業のような決算短信や有価証券報告書が公開されているケースでもないため、現時点の業績を推測してはいけません。

渡辺氏――公開されている会社情報が最も具体的

三宗貿易株式会社の公式ページでは、2009年8月28日設立、資本金100万円、代表取締役が渡辺久也氏であることを確認できます。事業は有機食品の輸入販売・輸入代行、食品などの輸出、貿易コンサルティング、不動産賃貸です。食品事業だけでなく、海外との取引、認証・免許、物流や販路を扱う会社であることが分かります。

Food Biz Kyushuの企業ページには、2021年3月期の年商約1億6,000万円、2021年9月1日時点の従業員4人、主要販売先・仕入先、商品開発やJICAのモンゴル大気汚染対策事業への参加などが掲載されています。これは「経営経験」を具体化する材料になりますが、売上高は利益、納税額、従業員の待遇、事業の継続性を表すものではありません。市長候補としては、この経験を市の産業政策、輸出支援、行政の意思決定にどう移すのかを聞く必要があります。

西脇氏――会社員としての現場経験と、勤務先の業績を区別

西脇氏は選挙ドットコムの本人プロフィールで、普通の会社員として働き、NEXCO九州支社で高速道路関連施設の設計・施工などに携わったと説明しています。インフラの設計・施工に関する現場経験は、交通政策を読むうえで確認したい経歴です。一方、本人が会社を経営しているとは発信しておらず、勤務先の業績を候補者個人の経営実績として扱うことはできません。

神野氏――教育サービスの導入実績と会社業績を区別

神野氏が創設した株式会社COMPASSは、公式サイトでQubenaの導入自治体、学校、利用する子どもの規模を示しています。これはサービスの到達範囲としては具体的ですが、導入校数や利用者数は売上高、利益、自治体ごとの契約額を意味しません。現行サイトでは神野氏が経営チームに掲載されていないため、創業時の役割、過去の経営実績、現在の学校法人運営を切り分けて確認します。

荒牧氏・新村氏――会社・NPO・議会活動を分解して見る

荒牧氏については、Over the Rainbowの公式会社概要が、輸入・製造・販売、法人コンサルティング、コミュニティやイベントの運営を事業として掲げています。中間市の人権講演会資料では、荒牧氏を同社代表、NPO法人カラフルチェンジラボ理事、nTech Online University学長と紹介しています。教育や人権を掲げる背景には、会社事業だけでなく、講演・NPO・学習プログラムの活動があると読めます。

カラフルチェンジラボの公式サイトには、2018〜2025年度の会計報告へのリンクがあります。公開されている2024年度会計報告の貸借対照表は、令和7年1月31日現在で資産合計632万9,705円、負債合計688万1,969円、正味財産合計マイナス55万2,264円です。これはNPO法人の一時点の法人会計であり、荒牧氏個人の資産、会社の売上、選挙資金を示す数字ではありません。とはいえ、組織運営の継続性や資金繰りを考えるうえで、公開資料から確認できる重要な情報です。

新村氏は、公式サイト掲載の略歴で、アサヒビール勤務、NPO法人次世代のチカラFUKUOKAの設立、スペクトラムアンドパートナーズ株式会社の取締役を経たとしています。比較すべき実績は、アサヒビールの会社規模ではなく、新村氏本人の市議会での政策・質疑、NPO・会社でどの役割を担ったかです。会社の売上や利益が見つからない部分は、見つからないまま明示します。

活動の規模を示す公開資料として、福岡県の「こどもまんなかポータル」は、NPO法人次世代のチカラFUKUOKAと九州産業大学による「ランドセルランド」を紹介しています。2024年度には福岡市・久留米市・北九州市の3会場で実施され、前年には約650個のランドセル寄付が集まったとされています。福岡市のNPO出前講座一覧にも、ランドセルバンク、不登校の子どもの居場所、国際交流など同NPOの講座が掲載されています。これはNPO活動の到達実績を読む材料ですが、NPOの活動規模を会社の売上や利益に置き換えるものではありません。

スペクトラムアンドパートナーズの公式サイトでは、不動産の売買仲介・買取再販、住宅・店舗の設計、アートディレクション、アパレル・雑貨制作などを事業として案内しています。ただし、同社サイトの事業紹介だけでは新村氏の現在の役職や担当範囲、売上・利益までは分かりません。候補者本人の公式略歴、法人公式サイト、議会・公的機関の活動記録を重ねて確認する必要があります。

阿部氏・永澤氏――医療機関とNPOは「事業の継続性」を見る

阿部氏については、天神ホリスティックビューティークリニックの公式プロフィールで、院長としての勤務、麻酔科医としての病院歴、日本麻酔科学会所属を確認できます。クリニックの売上や患者数は確認できないため、医師としての専門性と、医療機関を運営する経営実績は分けて評価します。市政では、医療・介護の専門知識をどの制度・予算・人材政策に変えるのかが質問になります。

永澤氏が代表を務めるNPO法人mieは、活動の理念を「人・自然・生命力であふれる社会づくり」とし、ノンビリムラを運営しています。団体の公式ページでは、旧拠点での子どもの受け入れ、新拠点の山林整備、2023年のNPO化、スポンサー募集などの沿革を確認できます。データ保管庫には、活動計算書・事業報告書に基づく情報を扱うページもあります。NPOは寄付・会費・助成金・事業収入などで運営されるため、会社の売上と同じ物差しでなく、活動人数、継続性、支援金の使途、土地・施設の維持費を確認するのが適切です。

佐々木氏・森氏――新設法人とIT開発の実績は、組織の規模まで確認

佐々木氏の一般社団法人カタリスト九州は、公式発表によれば2025年4月3日に設立され、代表理事は佐々木氏です。地域課題解決プロジェクト、人材育成、異業種ネットワーク、若者の地域定着、創業支援、交流人口・関係人口の拡大を事業に掲げています。これは本人の「共創」「若者」「スタートアップ」「国際性」という市政方針と接続しますが、設立から日が浅く、公開ページだけでは事業規模や財務状況を評価できません。市長選では、活動実績に加えて、事業の対象人数、資金源、成果指標、福岡市の事業として拡張する場合の費用を確認する必要があります。

森氏の公式プロフィールは、2000〜2011年の大手SIer、2011〜2020年のDeNA、2020年以降のGOでの開発職、2016〜2024年のエクセライク株式会社の創業・代表取締役CTOを記載しています。エクセライク会計・会社設立などのサービスをローンチしたこと、党の500人・5,000人規模のQRチェックインシステムや配信環境を構築したことも本人サイトの実績です。ITによる行政効率化を考えるうえで具体的な経験ですが、会社の売上・利益、開発サービスの利用者数、現在の合同会社の名称や業績は同プロフィールでは分かりません。

「見つからない財務情報」も記事上の重要な情報

今回、公式ページや公的プロフィールを中心に確認した結果、候補者本人の会社・法人について、現在の売上高、利益、従業員数、借入金、納税額まで一括して比較できる資料はありませんでした。非上場会社やNPOの財務情報が公開されていないこと自体は珍しくありませんが、その場合は「経営者だから行政も経営できる」「売上が大きいから政策を実行できる」と短絡しないことが重要です。

記事では今後、候補者に共通して、①組織の正式名称と役職、②在任期間、③主な事業、④資金源、⑤従業員・利用者・受益者の規模、⑥公開できる決算・事業報告、⑦失敗や撤退の経験、⑧市政で再現する際の予算と検証指標を確認します。回答がない項目は、推測で補わず「回答・資料を確認できず」と記録します。

政治活動の資金は、会社の業績と別に確認する

会社の売上と、後援会・政治団体の収入は別のものです。福岡県選挙管理委員会は、県に届出のある政治団体の収支報告書を公表しており、候補者の政治活動については、法人の決算だけでなく、後援会・政党支部・資金管理団体の名称をたどる必要があります。報告書の公表年度と選挙時点にはずれがあるため、過年度の収支を現在の選挙資金と同一視しません。

今回、候補者名と政治団体名を公式公開資料で直接確認できたものは次の通りです。

候補者 確認できた団体・資料 読み方
調崇史 調たかし後援会・令和5年分 後援会の収入・支出、寄附、事務所費などを確認できる。市議としての活動資金であり、市長選の選挙運動費とは分ける
阿部秀樹 あべひでき後援会・令和5年分 市議在職時の後援会収支。市議辞職後の市長選資金を示す資料ではない
新村優 新村まさる後援会・令和4年分 公式公開一覧で後援会の過年度報告書を確認できる。現在の選挙運動費とは別に扱う
永澤幹太 本人サイトで、2026年9月3日に「ながさわかんた後援会」の設立届を福岡県選挙管理委員会へ提出したと公表。過年度の収支報告書は未確認 現在の政治団体の設立と、今後公表される収支報告書は別に扱う。寄附の募集条件や撤退時の扱いは本人サイトに記載
渡辺・西脇・荒牧・井上・佐々木・森 今回確認した県の公開資料から、候補者本人と直接一致する過年度の報告書を特定できず 報告書がない、未提出、別名義、公開年度の違いなど複数の可能性があり、「資金がない」とは意味しない

選挙運動の収支は、告示後に出納責任者が提出する選挙運動費用収支報告書で別途確認します。候補者の会社からの寄附、政党・政治団体からの支援、個人献金、ポスターや動画などの支出がどのように記載されるかは、選挙後の重要な検証項目です。

候補者・組織の公式ホームページ一覧

候補者本人の発信と、勤務先・法人のサイトは役割が異なります。選挙公約は候補者サイト、会社の事業は会社サイト、NPOの活動は団体サイトというように、一次情報の出どころを分けて読むための入口をまとめます。

候補者 本人・政治活動 会社・法人・関連組織
渡辺久也 政策「福岡がやる必要があると思う10のこと」 三宗貿易株式会社
西脇ひろき 選挙ドットコムの本人ページ公式YouTube 勤務先の会社名・公式サイトは候補者ページで確認できず
荒牧明楽 こころ党・福岡支部候補者ページ Over the Rainbow.incNPO法人カラフルチェンジラボ
神野元基 出馬会見前のため、候補者本人の市長選公式サイトは確認できず 東明館中学校・高等学校株式会社COMPASS公式YouTube
新村優 新村まさるオフィシャルHP福岡市議会プロフィール スペクトラムアンドパートナーズNPO法人次世代のチカラFUKUOKAの活動紹介
調崇史 調崇史公式サイト TNCテレビ西日本の元記者。本人が経営する会社サイトは確認できず
井上潔 候補者個人の公式ホームページは今回確認できず。出馬表明報道を参照 行政書士事務所の名称・公式サイトは候補者との紐付けを確認できず
阿部秀樹 出馬会見・報道を参照 天神ホリスティックビューティークリニック
永澤幹太 本人サイト NPO法人mie/ノンビリムラ活動データ
佐々木彩乃 出馬会見・報道を参照 一般社団法人カタリスト九州
森健太郎 公式プロフィール政策 エクセライク等の職歴・活動は本人プロフィールで確認

ここで「確認できず」としたものは、候補者が事業をしていないという意味ではありません。検索で見つかった同姓同名の会社や、候補者との関係を確認できない会社を、本人の会社として掲載しないための表記です。

11人を横断して見る政策の確認項目

氏名 現市政との関係(整理) 財政・税 再開発・成長 子育て・教育・福祉 交通 防災・環境 多文化共生・外国人住民
渡辺久也 継承・転換を明言せず、市政運営を開く BI・事業見直し 福岡都市圏・道州制 ベーシックサービス、相談窓口 道路陥没などを課題化 下水道などインフラ 言及なし
西脇ひろき 継承×進化×挑戦 単純な住民税減税は主要政策にしない 福岡・九州の成長、副首都 第1子保育料ゼロ、介護人材 言及あり、具体化待ち 避難所、防災 共生ルールに言及、具体化待ち
荒牧明楽 教育・人権を政策の中心に 言及なし 教育経済エンジン 世界の教育首都、心のインフラ 言及なし 言及なし 言及なし
神野元基 会見待ち 言及なし 教育・AIを軸にする可能性 学校改革・探究教育の実績。市長選公約は会見待ち 言及なし 言及なし 言及なし
新村優 成長の流れを止めない 言及なし 都市経済の発展 人への優しさ、子どもの教育 言及なし 地域防災 言及なし
調崇史 継承方針/過去は批判的 事業と成果の検証 天神ビッグバンなどを継承 子育て・教育 言及なし 言及なし 言及なし
井上潔 行政改革を重視 市民税5%減税 言及なし 言及なし 言及なし 言及なし 言及なし
阿部秀樹 継承 言及なし 言及なし 医療・介護、人への投資 言及なし 言及なし 言及なし
永澤幹太 集中型から分散型へ 省人化・再配分 大規模開発より生活拠点 教育・介護へ人を再配分 言及なし 7つの風の谷、エネルギー 言及なし
佐々木彩乃 継承・次のステージへ 成長・税収・手取り・市民サービス 産業支援、スタートアップ、本社機能、歴史文化 子育て・介護に問題意識、具体化待ち 天神一極集中、人の流れ、7区の特色 警固断層・豪雨、167万人の防災 言及なし
森健太郎 ゼロからの転換 減税 言及なし 言及なし 自動運転タクシー 言及なし 受け入れ拡大の見直し(国政分野を含む)

この表は、公約の優劣や争点の重要度を判定したものではありません。2026年9月19日までに公式サイト、会見、報道、本人発信で確認できた範囲を、同じ確認項目に置いたものです。「具体化待ち」はその政策に言及しているものの、現時点で制度・金額・期限まで特定できない場合に使っています。「言及なし」は政策がないという意味ではなく、基準日までの公開情報から明確な言及を確認できなかったという意味です。

争点1 現市政の政策を評価し、何を継承・修正するか

高島市長は、人口増、税収増、再開発、スタートアップ、子育て・教育・福祉、地下鉄延伸、市債残高の削減を実績として挙げています。高島市長の公式サイトでは、就任から15年で人口が20万人以上増え、市税収入が約1.6倍、市債残高が約3割減少したと説明しています。これらは市長側の実績整理であり、費用、地域差、住宅負担、交通混雑、未達課題を含む総合評価ではありません。候補者が評価する場合も、どの数字をどの資料で確認したかを分けて示します。

継承を掲げる候補者に対しては、「何を続けるのか」「何を見直すのか」「後継者としての責任をどのように負うのか」を聞く必要があります。転換を掲げる候補者に対しては、「どの事業を止めるのか」「代わりに何へ予算を配分するのか」「既存契約や工事への影響をどうするのか」が質問になります。

争点2 天神ビッグバンなどの成長投資を続けるか

天神ビッグバンは、航空法による高さ制限の緩和や市独自の容積率緩和制度を活用し、老朽化したビルを耐震性の高いビルへ建て替え、新たな空間、雇用、税収を生み出す政策として進められてきました。市の公式ページでは、2015年2月から2025年3月末までの建築確認申請数を93棟、竣工棟数を74棟としています。申請数と完成した建物の数は別の指標です。

市長選では、開発を続けるか止めるかだけでなく、次の問いが重要です。

  • 新しいオフィスや商業施設を、中央区・天神の住民の生活の便利さにどうつなげるか
  • 地価・家賃上昇や住宅不足にどう対応するか
  • 雇用や税収の効果を、どの地域・世代へ還元するか
  • 工事中の歩行者・自転車・バスの動線をどう守るか
  • 建て替え後の空室、災害時の帰宅困難者、エネルギー消費をどう管理するか

「成長の果実」という表現を使う場合は、税収、雇用、賃金、家計負担、公共サービスのどの数字で果実を測るのかまで確認します。

争点3 地下鉄・バス・道路をどう組み合わせるか

福岡市では七隈線の天神南〜博多間が開業し、福岡市地下鉄は西南部と都心、博多駅の移動改善や混雑緩和を整備効果として説明しています。一方、郊外部のバス路線維持や減便も、市長選で確認すべき交通政策上の論点です。

候補者の交通政策は、地下鉄の新路線だけでは比較できません。中央区の天神・渡辺通・薬院・六本松・大濠など都心部の回遊交通、郊外のバス、通学、通院、高齢者の移動、物流、観光客の移動を一つの交通政策として見る必要があります。

森氏は自動運転タクシーを掲げています。西脇氏、渡辺氏、ほかの候補者についても、バス路線維持、地下鉄延伸、オンデマンド交通、道路整備、歩行者空間の優先順位と財源を確認します。

争点4 減税と財政規律、福祉・教育への投資をどう両立するか

福岡市の2026年度一般会計は1兆1,318億1,100万円です。市の説明では、社会保障関係費、公共施設の建て替え・改修経費、社会経済情勢の変化や市民ニーズの多様化によって、今後も行財政需要の増加が見込まれています。

減税を掲げる候補者には、減収額と削減・再配分する事業を確認します。投資を掲げる候補者には、事業の将来負担、維持管理費、人口や税収が伸びない場合の代替策を確認します。福祉・教育を拡充する候補者には、国の制度、県の役割、市単独で上乗せする費用を区別して聞く必要があります。

市長選で見たいのは、掛け声の大きさより、次の5点です。

  1. 何をするのか
  2. いつ始めるのか
  3. いくらかかるのか
  4. どの財源を使うのか
  5. 何をもって成功・失敗とするのか

争点5 子育て・教育・医療・介護をどう支えるか

高島市政では、子ども医療費助成の高校生世代までの拡大、学校給食の無償化などが実績として示されています。福岡市は子ども医療費助成の対象を高校生世代までと案内しており、学校給食の無償化も進めています。候補者は保育料、教育、医療、介護、子どもの居場所、心の支援をそれぞれ掲げていますが、同じ「子育て支援」でも対象者と費用は異なります。

比較する際は、次のように分けます。

  • 保育料:第1子まで無償化するのか、所得制限はあるのか
  • 教育:給食費、教材費、ICT、教員の負担、不登校支援をどうするか
  • 医療:子ども医療、救急、在宅医療、災害時の医療をどうするか
  • 介護:介護職員の待遇、住宅、資格取得、家族介護をどう支えるか
  • 心の支援:相談窓口、孤独、若者、学校外の学びをどう扱うか

荒牧氏は教育と心のインフラ、西脇氏は第1子保育料ゼロと介護人材、阿部氏は医療・介護への投資、永澤氏は教育と介護へ人を再配分する考えを示しています。これらは似た言葉に見えても、実施主体と予算が違います。

争点6 防災・猛暑・エネルギー・公共施設

福岡市は災害時の避難所、浸水、土砂災害、猛暑、停電、上下水道や学校施設の老朽化に同時に備える必要があります。永澤氏は7区の風の谷を掲げ、学校などを防災・エネルギー・食・教育の拠点にする構想を示しています。西脇氏は避難所の環境、プライバシー、子ども、高齢者、障害者、ペットへの対応を発信しています。

防災政策では、発災時の訓練だけでなく、平時の施設更新、蓄電、給水、トイレ、空調、備蓄倉庫、自治協議会、要配慮者支援、帰宅困難者対策まで確認します。防災を掲げる候補者には、対象施設、整備年次、維持管理費、避難所の標準を聞きます。

比較項目 多文化共生・外国人住民・地域ルール

外国人住民の増加をどう受け止めるかは、森氏と西脇氏の発信で主張の差が表れている比較項目の一つです。一方、2026年9月19日時点で、今回の市長選全体の主要争点と確定したものではありません。本記事では、選挙の争点として重要度を順位づけするのではなく、候補者の発信に差がある項目として扱います。森氏は移民政策の見直しと受け入れ拡大の停止を前面に出し、西脇氏は、日本人にも外国人にも福岡で生活するためのルールを分かりやすく伝える考えに言及しています。ほかの候補者は、現時点で確認できる範囲では、このテーマへの明確な言及を確認できません。

ここでは「外国人」という一語で、在留資格、留学生、就労者、家族、子ども、永住者、観光客を一括りにしないことが重要です。上記の人数は住民基本台帳上の外国人住民であり、外国人観光客数とは別の統計です。市長が担うのは、学校、相談窓口、地域ルール、多言語情報、医療・福祉へのアクセス、地域の安全と共生の仕組みです。入国管理、在留資格、国籍制度は国の権限です。候補者が国への要望を話しているのか、市の制度を話しているのかを分けて掲載します。

争点8 感染症対応は別途検証が必要

高島市政16年を評価するうえでは、COVID-19期の保健行政、医療提供体制、ワクチン・検査、事業者支援、学校運営なども重要な論点です。本稿では候補者間で比較できる指標をそろえていないため、感染症対応の良し悪しは判定していません。今後、行政記録と予算資料を確認したうえで、別途検証します。

YouTube・動画・出演メディアを確認する

今回の特集では、YouTubeを単なる宣伝動画のリンク集にせず、候補者の発言を確認する資料として扱います。動画の公開日、投稿者、候補者本人の発言か報道か、該当時間、主な論点を記録します。以下は、2026年9月19日までに確認できた主な動画です。

区分 動画・媒体 読み取れる内容
現職 高島市長の不出馬表明会見 多選の弊害、新しいリーダーへのバトンタッチ
渡辺氏 出馬表明記者会見・ほぼノーカット 誰一人取り残さない市政、市民参加、ベーシックサービスなど
西脇氏 公式YouTubeチャンネル 毎日の政策発信。副首都、子育て、交通、防災、福祉、外国人をめぐるルールなど
西脇氏 政策紹介動画 会社員としての挑戦、政治の常識を変えるというメッセージ
荒牧氏 出馬表明会見 福岡を教育首都に、教育・人権・心のインフラ
荒牧氏 自己紹介・政策動画 AI時代の教育、人が輝く街、教育経済エンジン
神野氏 公式YouTubeチャンネル AI型教材、探究教育、東明館の学校改革。市長選会見は9月24日予定
神野氏 東明館教育フォーラム2026 工藤勇一氏との対談。市長選の公約ではなく、教育活動上の発言として扱う
新村氏 出馬会見 都市の発展、市民とつくる福岡
調氏 出馬表明会見・ノーカット 高島市政の継承、政策決定の可視化、子育て・教育
井上氏 出馬表明会見・ノーカット 市民税5%減税、行政改革、報酬削減など
阿部氏 出馬表明会見・ノーカット 医師経験を踏まえた医療・介護、人への投資
永澤氏 出馬表明会見・ノーカット 7区の風の谷、防災、エネルギー、自然との共生
佐々木氏 出馬表明会見・ノーカット 歴史・文化の継承、経済成長の税収を暮らしへ
森氏 福岡市長選出馬会見 腐敗ゼロ、交通課題ゼロ、移民拡大ゼロ
森氏 西新街宣 政治の透明化、外国人受け入れへの主張
報道 佐々木氏・森氏の出馬表明 9月18日の会見、経歴、本人発言
報道 佐々木氏・森氏の出馬表明(RKB) 9人の表明者という報道、2人の経歴と会見発言
報道 佐々木氏・森氏の出馬表明(KBC) 過去最多の立候補者数、再選挙の可能性にも言及
報道 高島市長の不出馬表明会見・KBC 4期目までの経緯と不出馬理由

候補者によって、公式の長尺会見、短い自己紹介、街頭演説、報道インタビューの量に差があります。動画の本数や再生回数は、政策の良し悪しや支持の強さを示すものではありません。報道動画の編集、候補者自身の切り抜き、第三者の解説も区別して扱います。

この時点で、告示前に確認できる11人について、本人・陣営の公式チャンネルまたは記者会見のノーカット版を確認できたものを優先して掲載しました。神野氏の市長選会見は予定段階のため、現時点では教育活動の公式動画を別枠で扱っています。動画が見つからない人を「発信していない」とは扱わず、公式サイト、報道、会見記録と照合します。今後、公開討論会や全候補者が同じ質問に答える企画が開かれた場合は、同じ論点の発言を候補者別に抜き出します。

候補者に同じ条件で確認したい質問

候補者の政策を公平に比べるため、今後の取材では次の質問を共通化します。

  • 最初の100日で着手する政策は何か
  • 最も大きな財源が必要な政策は何か
  • その財源をどこから出すのか
  • 福岡市単独でできることと、国・県との協議が必要なことは何か
  • 天神ビッグバンや博多コネクティッドを継続・修正・停止する部分はどこか
  • バス路線と地下鉄をどう組み合わせるか
  • 第1子保育料、給食費、教育費をどうするか
  • 介護人材と医療人材をどう確保するか
  • 避難所、学校、公共施設の防災基準をどう変えるか
  • 市税、消費税、社会保険料など、自治体が決められる税と決められない税をどう区別するか
  • 外国人住民との共生や地域ルールをどう設計するか
  • 事業の効果を何年後に、どの指標で検証するか
  • 市長の任期制限や市長室の情報公開をどう考えるか

回答がない場合も、政策なしとは断定せず、「現時点で回答・具体策を確認できず」と記録します。

現時点での読み方

現時点の福岡市長選は、単純な「現市政の継承対全面転換」ではありません。高島市政の継承を掲げる候補者の中でも、成長政策を軸にする人、生活支援を厚くする人、行政運営の透明化を強調する人がいます。政策を修正・転換する候補者の中でも、教育、減税、防災、多文化共生・外国人住民など、対象は異なります。

したがって、候補者のキャッチコピーだけでなく、次の順で確認するのがよさそうです。

  1. 何を変えるのか
  2. 何を残すのか
  3. 市長の権限で実行できるのか
  4. 財源と期限は示されているか
  5. 失敗した場合に検証・修正する仕組みがあるか

正式な選挙公報が出た後は、候補者の届出順、選挙公報、公約、選挙運動、公開討論、出演メディア、投票情報を更新します。この記事はその都度、確認日を付けて改訂します。

中央区の読者が確認したい地域の論点

福岡市全体の選挙でも、中央区の暮らしには具体的な接点があります。天神・渡辺通・薬院では再開発と歩行者・自転車・バスの動線、六本松・大濠・唐人町では住宅、観光、公園、学校、防災、都心回遊、大名・今泉・春吉では商業地と住環境、夜間の安全やごみ、外国人観光客・住民との共生が関係します。

候補者の政策が「福岡市を成長させる」と書かれているとき、中央区の住民にとっては、家賃や住宅、通勤・通学、バス停、歩道、騒音、災害時の帰宅、子育て施設、商店街の担い手といった具体的な言葉へ置き換えて読む必要があります。

市長選は、将来の大きな都市像だけを競う選挙ではありません。毎日の移動、子どもの学び、高齢者の通院、災害時の避難、税金の使い道をどの順番で変えるかを選ぶ選挙でもあります。

(2026年9月19日確認。候補者の表記・出馬状況・政策・動画は告示前のため変わる可能性があります。最新情報は福岡市選挙管理委員会と各候補者・政党の公式発信も確認してください。)

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